【2026年度 公立中高一貫校】適性検査型の公開模試一覧!
2025.05.30

公立中高一貫校を目指すお子さんとご家庭にとって、適性検査型の模試を受けることは。自分の現在の実力と立ち位置を知り、志望校合格に向けた対策がわかるチャンスです。
しかし学校ごとに独自問題があったり出題傾向が違ったりするため、どの模試を選ぶべきか、悩んでいるご家庭もあるのではないでしょうか。
この記事では、主に首都圏の公立中高一貫校合格を目指すお子さん向けの、おすすめしたい公開模試を紹介します。
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福永理乃
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目次
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受けるべきはどれ?適性検査型の公開模試を紹介
まずは首都圏で代表的な公立中高一貫校適性検査模試について、概要を紹介します。
適性検査型模試は公立中高一貫校の問題をもとに作成されることから、実施している塾や模試センターでは学校別の模試を準備しているところもあります。志望する学校の適性検査型模試を受けるようにしましょう。
【首都圏の主な適性検査型模試】
主催者 | 模試名 | 年間の実施予定 | 調査書判定(通知表調査)の有無 | 有料or無料 | 特徴 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1進学塾ena | ena「都立中学校別合判」 | 全5回 都立中合判 4月・6月・9月・10月 都立中学校別合判 11月・12月 | 有 小学校の通知表内容を記載した用紙を当日提出する | 有料 | ・模試を主催するenaはここ数年、都立中高一貫校への合格者数が安定して多いため都立中高一貫校を志望している場合は特におすすめ ・適性検査だけでなく調査書(通知表の成績)も含めて判定されるので信頼性が高い | ・都立ではない大学付属で適性検査型模試を行う大学附属中学(お茶の水女子大附属中、東京学芸大学附属国際中、東大附属中)も合格判定可能 |
都立中合判 | 6/14(土) | なし | 有料 | ・学校別ではない標準的な合格判定模試だが適性検査Ⅰ~Ⅲまである | ・都立中高一貫校(千代田区立九段中含む)、およびお茶の水女子大附属中、東京学芸大学附属国際中、東大附属中(適性検査型入試実施の国公立中高一貫校)から最大3校まで合格判定可能 | |
enaオープン(都内) | 6/7(土) | なし | 無料 | ・東京都立中高一貫校(九段、国立大学附属適性検査型中学含む)の合格判定ができる | ・科目は適性検査型ではなく国算理社(小1~小3は国算2科目) ・埼玉、千葉県版もあり | |
2首都圏模試センター | 首都圏模試センター「適性検査型模試」 | 全3回 第1回 7/13(日) 第2回 9/21(日) 第3回 11/24(月祝) | なし | 有料 | ・私立中学と併願する場合は模試申し込みと同時に併願設定を行うことでさまざまな角度から成績が判断できる | ・「志望校」により受検科目が異なる ・私立中学のうち、適性検査型と呼ばれる入試を行う中学も志望校として選択できる |
3臨海セミナー | 臨界セミナー「志望校別 都立・公立中高一貫校オープン模試」 | 4/26(土) | なし | 初回無料 | ・東京都市圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)の主要な公立中高一貫校の適性検査に対応した模試 | ・自宅受検可能 |
都立・公立中高一貫校受検スタートテスト | 毎週土曜日 | なし | 無料 | ・適性検査に必要な基礎学力がどの程度身についているかをチェックできる | ・自宅受検可能 ・臨海セミナーに通っていないお子さん対象 | |
4(株)日本教材出版 | 日本教材出版「公立中高一貫校適性検査対策模試」 | 東京都内 6/1(日)8/31(日)10/5(日)11/2(日)11/30(日) 神奈川県内 6/8(日)9/7(日)10/5(日)11/9(日)12/7(日) | なし | 有料 | ・通称「公中検模試」 ・東京・神奈川・愛知ほか全国主要都市で開催 ・全国主要都市版の適性検査模試が用意されている | ・科目数も志望校に合わせて細かく設定できる ・自宅受検は通っている塾経由での申し込みになるため注意 |
5早稲田進学会 | 早稲田進学会「そっくり模試」 | 小石川:全5回予定 第1回 5/11(日) 第 2回6/29(日) 第3/4回未定 第5回1/12(月・祝) 5年そっくり模試 6/22(土)9/21(土) | なし | 小石川の場合 模試と解説授業 7,000円 模試のみ 5,000円自宅受検 5,500円 | ・小石川中等教育学校への合格者数が多い ・入試(適性検査)問題説明会は小石川のみ別途開催され力を入れている | ・都立中高一貫校に特化している |
6大原予備校 | 大原予備校「SOKKURIテスト」 | 小6対象・全3回予定4/27(日)6/22(日)8/16(土) | なし | 有料 (詳細は要問合せ) | ・東大附属中・九段中・各都立中高一貫校・学芸大学附属国際中に特化した模試 | ・千代田区立九段中に特化した模試はあまりないため志望している場合は推奨 |
7栃木県 進学塾ACADEMY | 県立中高一貫校 入試そっくり模試 | 2回予定 | 有り | 有料 | ・栃木県内の公立中高一貫校および大学附属中学に特化した塾で合格率も高い | - |
8思学舎グループ | 小6本試験レベル模試 | 2024年9/22(日)に実施された(2025年は未定) | なし | 無料 | ・茨城県、千葉県の公立中高一貫校に特化した模試。特に茨城県は多数の合格実績あり | ・模擬面接実施あり(塾のカリキュラムにも面接対策がある) |
公立中高一貫校適性検査模試の特徴

適性検査型模試は公立中高一貫校の適性検査(受検問題)に問題形式を似せた模試になります。適性検査型模試の特徴について見ていきましょう。
受検校ごとに形式・問題の傾向が違う
適性検査は学校ごとに形式や傾向が違うため、志望校に合わせた模試を受けることが大切になります。
例えば「東京都立中高一貫校」は、東京都教育委員会の管轄する一貫教育校を指します。同じ都立中高一貫校でも、東京都の共同作成問題と学校が独自に作成した問題を組み合わせて出題されます。適性検査Ⅰ~Ⅲのうち、どれが独自問題になるか、何問あるかは学校によって異なります。また適性検査Ⅲがない学校もあります。
一方で、神奈川県立の中高一貫校では、2校ともに神奈川県作成の独自問題のみとなっています。
独自問題は、各校の「教育理念」にもとづく問題です。どんなお子さんに通ってほしいかという学校側からのメッセージともいえます。実際に過去問を見比べてみると、どのようなタイプのお子さんがその学校に合っているか、判断する材料になるでしょう。
ライター
福永理乃
志望する際「近いところを選ぶ」というご家庭もあるかもしれません。しかし共同作成問題だけでなく独自問題がある場合は、適性検査とのミスマッチ(お子さんが苦手な分野が毎年出題されるなど)が起こる可能性があります。
通いやすいことは大切ですが、合格を目指すなら独自問題の傾向も把握してから志望校を設定し、その内容にそった模試を選びましょう。
出題の形式の違い
神奈川県立や千葉県立、茨城県立の中高一貫校は、各校とも適性検査は共通です。一方で同じ県内でも市立中高一貫校は県立と適性検査が一部だけ共通な学校、全て独自問題の学校など、学校ごとに異なります。
また適性検査以外に面接を行う都道府県もあります。例えば関東圏では、茨城県が5人程度のグループ面接を課しています。
各校の独自問題の一例
公立中高一貫校の独自問題の違いについて紹介します。例として都立小石川中等教育学校と都立武蔵高校・附属中学校を見てみましょう。この2校は適性検査Ⅱの大問2と、Ⅲが独自問題となっています。以下、令和6年度の適性検査Ⅲの大問1を簡単に比較してみます。
小石川中等教育学校(適性検査Ⅲ 令和6年度の問題)

【大問1】音に関する問題
問題1:人の声を視覚化するオシロスコープを題材に、会話文をもとにして答えるもの
問題2:アマガエルの鳴き声を分析した研究を題材にしたもの
問題3:1と2の資料とは別の研究資料をもとに、資料から読み取れることをまとめる問題
問題4:3で出てきたオンとオフについて、身近にある自動的にオンとオフが切りかわるものについて述べ、なぜ切り替わるのか自分の考えを述べる問題
ライター
福永理乃
アマガエルの長い時間の鳴き方を観察するとオンとオフがあることから、その特徴を述べたうえで、なぜそのように鳴くのか、自分の考えを記述するという出題です。
一見理科の問題のように見えますが、自分の経験も含めて導き出される推論を、資料から読み取った内容とあわせて記述するものになっています。
武蔵高校・附属中学校(適性検査Ⅲ 令和6年度の問題)
【大問1】算数分野:平面図の移動・規則制の問題
問題1:平面図形(傘、正八角形が例)を平面上で回転させた場合の特定の頂点の動きの説明があり、別の平面図形を同じように回転移動させた場合の頂点の動きを問う問題
問題2:規則性の問題
問題3:会話文で与えられた矛盾(つじつまがあわない、と表現されている)がなぜなのか説明
ライター
福永理乃
この年度の武蔵の適性検査は、これまで武蔵で出題される傾向のあった立体図形の問題がなかったこと、平面図形の問題も比較的解きやすかったことから、この問題は着実に正答することが求められていたと考えられます。
少しだけ比較してみましたが、同じ都立中高一貫校で同じ難関中であっても、まったく異なる分野、問題、与えられる資料の中身も違うことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
難しい問題と解きやすい問題の配置も学校ごとに異なり、同じ学校でも年度によって異なります。国語・算数・理科・社会と、全体的にバランスのとれた、深くまで考える学習が求められます。
模試はどこに注目して選ぶ?
公立中高一貫校対策模試を選ぶべきポイントについて解説します。
ポイント1.受検する志望校の問題に似た形式・問題の模試か
公立中高一貫校ごとに問題形式や内容が異なるのは、すでに紹介したとおりです。志望校の過去問に似た模試、「●●そっくり模試」という名称がついているものについては、できる限り受検するようにしましょう。
ポイント2.模試を受ける母集団が実際の受検者層に似ているか
例えば、都立を受検する場合は都立を狙う子たちが多く集まる模試、というふうに同じ志望校を目指すお子さんが多く受検する模試を選びましょう。
ポイント3.主催年数実績・主催団体の合格実績があるか
模試を主催する塾や団体にどのような実績があるか確認しましょう。多くの受検生に長年利用されている、あるいは主催者の塾が合格者を毎年出しているならば、分析や対策を入念に行っていることが期待できます。
志望校の合格実績がある塾が主催する模試は、同じ志望校を目指すお子さんが多く受検する可能性が高いため、受けることを検討してみてください。
模試の後の解説なども積極的に参加してください。近年の受検傾向なども聞けますので、模試の時間に開催される保護者向け説明会があれば、そちらも参加して情報収集することをおすすめします。
ポイント4.返却後に模範解答だけでなく解説授業などがあるか
模試は受けっぱなしでは意味がありません。偏差値や順位だけを見て一喜一憂するのではなく、終わってから解きなおしたか、わからないところを理解できたかが大切です。
しかし、適性検査は記述式のものがほとんどで、問題形式も資料と会話形式の状況を読み取り設問に答えるものが多く、それらを時間内に解くための思考回路や記述の手順、時間配分などのテクニックも求められます。
解答や模範解答だけでは理解することはできても実際に自分で解答できるようになるまでは難しい…というときも、解説動画を用意してくれていたり、模試の後に解説授業をしてくれたりする模試は、ぜひ活用してみてください。
例年の傾向や合格倍率などの数字分析だけでなく、問題の意図や、解くために必要な知識などを教えてくれる模試を選びましょう。
各模試の特徴・活用法
「うちの子はどの模試を選べばいいの?」とお悩みの保護者の方へ、代表的な模試の特徴と活用法について解説します。
難易度・実際の適性検査とのそっくり度合い・受検者数などを参考にしてみてください。
なお、過去に行われていた模試でも現在は開催未定のものもあります。最新の実施日程など詳細については、必ず塾や主催者に直接お問い合わせください。
各模試の特徴・活用法
1.進学塾ena「都立中学校別合判」
進学塾enaは、公立中高一貫校受検コースがある塾の中でも、毎年多数の合格実績を出しています。都内を中心に関東近県(神奈川・千葉・埼玉)に校舎がありますが、中でも都内にある都立中高一貫校(区立九段中等教育学校含む)への実績が非常に大きく、各学校の合格定員のうち約5割~7割をenaの受講生が占めています。
実際の受検者に近い母集団の中で合格判定を出してもらえるため、都立・区立中高一貫校志望の場合は継続して受けておきたい模試の一つといえるでしょう。また調査書の内容も加味した判定になることが特徴です。
例年、「都立中合判」が4月・6月・9月・10月にあり、その後「学校別合判」が11月・12月に行われます。最初の4回では学校ごとの独自問題の違いはなく、全員が同じ模試を受けることになります。まずは基本的な適性検査模試で弱点を見極め、夏休みに補強できるように備えてください。
2.首都圏模試センター「適性検査型模試」
私立中学を受験する場合に多く利用される首都圏模試。同じ首都圏模試センターが開催する「適性検査型模試」は、公立中高一貫校専願の子だけでなく私立中学と併願する子も受検します。
実際、本番の適性検査は私立中学受験組も多く受けるため、それらの子たちと比較して、どの程度の位置にいるのか知ることができます。
志望校によって受検科目が異なり、実際の適性検査に合った組み合わせの問題で受検することができます。
3.臨海セミナー「志望校別 都立・公立中高一貫校オープン模試」
臨海セミナーは東京都市圏(神奈川・千葉・埼玉)と大阪を中心に展開する塾です。「志望校別 都立・公立中高一貫校オープン模試」は、東京都市圏の主要な公立中高一貫校の適性検査に対応しており、無料で受けられます。
臨海セミナー自体が長年の実績をもつ塾のため、在籍生徒が多く受検します。志望校が該当する場合は受けてみて、今後の対策に活かすとよいでしょう。
臨海セミナーではほかに「都立・公立中高一貫校受検スタートテスト」を毎週土曜日に行っています。初回は無料で、2回目以降が有料になります(学年により額は異なります。最寄りの塾に問い合わせてください)。適性検査に必要な基礎学力が、その時点でどの程度身についているかを確認できます。
4.日本教材出版「公立中高一貫校適性検査対策模試」
日本教材出版が主催する「公立中高一貫校適性検査対策模試」(通称「公中検模試」)は、長年の利用実績がある公立中高一貫校に特化した対策模試です。全国の主要都市で開催されます。
全国規模で開催されますが、各主要都市に合わせた適性検査模試のため、各都道府県独自の傾向もおさえて作られています。科目数も志望校に合わせて細かく設定できます。結果の閲覧などはWEB経由のため素早く知ることができます。
ライター
福永理乃
回数が公立中高一貫校模試の中では比較的多く、長期休みの多い5月と8月以外は毎月、年末まで開催されるので、実力の伸びを継続して知りやすいです。
例えば大手の塾に通わず個別指導塾で勉強しているケースや、完全に家庭学習で対策を行っているケースでは、多くの生徒たちと競い合い自分の立ち位置を知ることができるでしょう。
自宅受検も可能ですが、通っている塾経由での申し込みになるため注意が必要です。
5.早稲田進学会「そっくり模試」
早稲田進学会の「そっくり模試」は、適性検査の分析を行って作られた、文字どおり実際の適性検査に「そっくり」な模試です。
早稲田進学会は1塾・2教室という小規模塾でありながら、都立中高一貫校、中でも難関と言われる小石川中等教育学校の合格者数が例年多く、対策に力を入れています。問題説明会は小石川のみ別途開催されます。
都立中高一貫校の中で、早稲田進学会での合格者が多い学校を目指している場合は、同じ受検層が集まる可能性が高いので受検を検討してみてください。
6.大原予備校「SOKKURIテスト」
大原予備校の主催する「SOKKURIテスト」は、東大附属中・九段中・各都立中・学芸大学附属国際中に特化した模試です。
都立中高一貫校の小石川・武蔵などに特化したそっくり模試は複数ありますが、こちらの模試では千代田区立九段中に特化した模試も実施しています。九段中等教育学校は都立ではないため、問題形式や内容は独自のものになります。志望している場合は受検を検討してみてください。
7.栃木県 進学塾ACADEMY「県立中高一貫校 入試そっくり模試」
「県立中高一貫校 入試そっくり模試」は、首都圏の中でも栃木県立中高一貫校の適性検査に特化したそっくり模試です。
栃木県の公立中高一貫校の入学者選考では、適性検査のほか、作文と面接が課されます。一般的な適性検査模試では、面接までカバーしてくれるものはほとんど無いため、栃木県の公立中高一貫校を受検する場合はぜひおさえておきたい模試といえるでしょう。
8.思学舎グループ「小6本試験レベル模試」
「本試験レベル模試」は、首都圏のうち茨城県の公立中高一貫校入学者選考における適性検査と同じ傾向の問題を出題する模試です。
茨城県の公立中高一貫校では、「グループ面接」が行われます。この模試では模試と同日に、本番さながらの模擬面接が行われることが特徴です。グループ面接は個別面接と異なり他の生徒も同席する中で行われるため、面接自体の再現がご家庭では難しく、受検を考えている場合は申し込むことをおすすめします。
まとめ
この記事では公立中高一貫校を目指すお子さんとご家庭が利用したい、適性検査型の模試を紹介しました。
適性検査模試を選ぶときは、自分の志望校に問題形式や内容が似たものを選ぶことが大切です。模試を受けることで、勉強の方向性がはっきりし、志望校合格に向けた準備を進める手助けになります。自分に合った模試を活用して、受検成功に近づきましょう。