中学受験の成功を支えるカギの一つとなるのは「塾選び」です。

ですが、中学受験塾は指導方法やサポート体制、費用など、塾ごとにさまざまな特徴があります。

「うちの子の性格には、どんな塾があうんだろう」
「共働きの我が家はどんな点に注意して塾を選ぶべき？」

とお悩みの保護者の方のために、この記事では自分の子に合った塾の選び方、塾選びで参考になる失敗例についてわかりやすく解説し、おすすめの中学受験塾を紹介します。

中学受験の塾選びでおさえておきたい10のポイント

はじめに、中学受験塾の選び方として押さえておきたいポイントを、11項目に分けて詳しく解説します。

中学受験のための塾選びは、多角的な視点が必要になります。お子さんの中学受験成功のために、何を最重視するのか、何がハードルになるのかを見極めてください。

1.指導スタイル（集団塾or少人数制の塾or個別指導塾）

中学受験塾は大きく3つの指導スタイルに分かれます。「集団指導塾」「少人数指導塾（5人〜15人程度までが多い）」「個別指導塾」です。

基本的には、お子さんの性格が学習スタイルに合っているかを考えながら選ぶことになります。

例えば、競争や偏差値で比較されることに慣れないお子さんの場合、個別指導塾で自分のペースで目標達成をしていく方法がおすすめです。個別指導塾だけ、家庭教師だけでも難関中学に合格しているお子さんも実際にいます。

一方で、最初から「この子は競争が嫌いだから個別で」のように保護者が決めつけてしまうと、お子さんの眠っている能力の芽を摘んでしまうことになるかもしれません。学校では引っ込み思案で挙手もなかなかできない子が、中学受験塾で知らないことを勉強していく面白さ、努力の結果が見える達成感に目覚め、周りの子どもたちと競い合って実力を伸ばしていくケースもあります。

お子さんにどの塾、どの指導方法が合っているのか見極めるために、まずは複数の気になる塾へ一緒に行って、実際の授業を体験させてあげてください。同じ指導タイプでも、塾によってかなり雰囲気や進度、教え方、拘束時間やルールは異なります。お子さんの反応を見たうえで決めましょう。

指導スタイルだけでなく「塾の雰囲気」や「講師との相性」も重要になるため、体験授業（多くは無料）は必ず受講してください。

2.カリキュラムや学習進度

多くの中学受験塾では、小学校3年生の2月から中学受験の勉強がスタートします。ただしこれは私立中学受験の場合で、公立中高一貫校の場合は小学4年生2月（小5）スタートの塾が多いようです。このように私立志望か公立志望かによってもカリキュラムは変わります。

集団指導塾の場合、単元ごとの学ぶ順序の違いはあっても、おおむねカリキュラムの進度は同じと考えてよいでしょう。個別指導塾の場合は、その子の学力や現在の進度に合わせてカリキュラムが作られる場合と、かけもちのお子さんで通っている集団指導塾に合わせる場合とがあります。

3.指導方針

塾の指導方針に共感できるか（我が子を伸ばしてくれるか）。これは塾のモットー、掲げている理念などである程度推測できます。

例えば、早稲田アカデミーの方針は「本気でやる子を育てる」。

早稲田アカデミーは目標に向かってみんなでがんばろうという雰囲気が強いと感じるご家庭が多いかもしれません（教室、講師によって差はあります）。サッカーや野球などのチームスポーツをしている子などには非常に馴染むケースもある一方で、「絶対に合わない」という子も中にはいます。

日能研は「中学受験で終わらない、その先に続くチカラを。」という理念をうたっています。根本的な考える力を鍛える方針といえるでしょう。

4.授業の難易度がお子さんの学力に適しているか

お子さんがどの中学を第一志望にしているかで、ある程度選ぶ塾が絞られてきます。

例えば御三家と呼ばれる最難関中学や早慶付属・系属中学を第一志望にしている場合は、難易度が高めといわれるサピックスや早稲田アカデミーを選ぶ傾向があります。

とはいえ、入塾前のお子さんの学力がどれくらいかは、実際のところ、授業や模試を受けてみないとわからないことも多いです。例えば小学校の通知表が最上位の評価ばかりの子が、中学受験塾ではあまり良いクラスに入れなかったり、逆に小学校のカラーテストで満点を取れない子が中学受験塾で生き生きと学び偏差値も高かったり、というケースは多くあります。

四谷大塚や早稲田アカデミーが行っている、無料の学力診断テストを受験するところから始めてみて、我が子の学力や学習へのモチベーションをはかり、塾選びの一つの指標にするとよいでしょう。

5.合格実績

志望校に合格するための道筋があるかを知ることは非常に重要です。御三家に多くの合格者を出している塾には、合格のためのカリキュラムや実績を出せる講師がそろっているといえます。

また塾で志望校別の模試を主催しているか、志望校別特訓講習を行っているかも重要です。公立中高一貫校を目指す場合は、目指す一貫校の合格実績がある塾を選ぶ必要があります。

6.学習面のサポート体制（自習室・質問対応など）

通う塾に自習室があるか、質問が自由にいつでもできるかは、お子さんの性格や学力、進度によっては重要になってきます。

共働きの家庭は、どうしても自宅学習に目が行き届かなくなりがちです。塾に自習室があり質問対応システムがあると、保護者の対応が難しい部分をカバーできるため、このようなサポートの手厚さを重視するとよいでしょう。

ただし、自習室がうるさくて子どもたちが遊んでしまっていたり、監視する講師がいなかったりすると意味がありません。体験入塾の際に自習室の雰囲気なども合わせて確認しておきましょう。

7.面倒見の良い塾かどうか

お子さんの気持ちの面へのサポートが手厚いか、子どもへの面談・親への面談・メールや電話での問い合わせへの対応が十分に受けられるかも確認してみるとよいでしょう。

生徒数が多い場合は十分に目が行き届かないこともあるかもしれません。保護者の方やお子さんの相談にどの程度対応してくれるのか、不安を感じたら相談できる窓口はあるのかを入塾前に確認しておきましょう。

8.通いやすさ

塾の立地や通いやすさは、小学生のお子さんが通うことから重要なポイントです。夜間の通塾時の安全性も考慮して選びましょう。

自家用車で送迎をする保護者の方も多いですが、その場合はお子さんが退塾する時間まで近くで車を停めて待つことになります。路上駐車は近隣の迷惑になるため禁止している塾もあります。駐車場があるかどうか、送迎しやすいかなども合わせて、立地を確認しておきましょう。

9.お弁当持ちかどうか

塾に持たせるお弁当が必要かどうかは、実は重要なポイントです。保護者の方が日中在宅でお弁当を作ったりお子さんにパンなどを買って持たせられる場合はよいのですが、両親ともフルタイム勤務で共働きの場合、お弁当作りは実質不可能というケースもあるでしょう。

塾によって1週間の授業日数や1日の拘束時間が異なるため、ご家庭で無理なくお弁当が用意できない場合は、お弁当なしの塾を選ぶようにしてください。小学校4年生から塾に通うとかなり長い間お弁当を作り続けることになるため、保護者の方に負担がかからない塾を検討しましょう。

10.費用

中学受験には、大きなお金がかかります。塾によって授業料に差はありますが、小学校3年生の2月から小学校6年生の2月本番直前まで3年間通い続ける場合、大手集団塾の場合は塾代だけで約250万円から300万円かかります。

「少しでも費用を抑えたい」「どうしても中学受験させたいけれど予算が足りない、かけられない」という場合は次のような方法があります。

お金の問題はご家庭によってさまざま。ご家庭の考え方、予算、そして何よりお子さんの希望とモチベーションを十分に確認し、方針を決めてください。

塾選びの失敗例

ここでは、塾選びで失敗してしまった事例をいくつかご紹介します。

転塾は子どもに不安やストレスを与えてしまうため、基本的にはおすすめできません。お子さんのチャレンジを受験終了までポジティブに伴奏してくれるような塾を選べるよう、しっかりと失敗例も確認しておきましょう。

指導スタイル（集団or個別）が合わなかった

子ども自身の性格や学習スタイルに合っているかの見極めは大切です。入塾前に体験授業を受け、お子さんの感想などもしっかりと聞いてから決めましょう。

進度や学習レベルが合っていなかった

お子さんの学力レベルを見極め、背伸びをしない塾選びが大切です。有名塾への過信は禁物。大手塾では下位クラスを経験の浅い講師が担当することも多いため、お子さんの志望校や学力に合った塾を選びましょう。

競争環境の厳しさに子どもがストレスを感じてしまった

テストの結果でクラス昇降や席順を頻繁に変える塾も多いです。受験自体がストレスフルになり、体調を崩す子もいます。

一方で、そういった環境で切磋琢磨することに楽しさを感じる子もいます。保護者の方は、お子さんのメンタルや体調に変わったことはないかを常に気にかけてあげましょう。

保護者の負担が大き過ぎた

宿題や予習の分量が多い塾は、その量をこなすために親のサポートが必要になります。ほかにお弁当作りや送迎の負担も考えられます。

学習スケジュールをこなせず、親子ともに関係が悪化してしまう場合もあります。その場合、サポートの手厚い塾に転塾するか、家庭教師や個別指導塾を併用することになる事例も多いようです。かけもちで個別塾などを利用すると費用の負担に加え、お子さんの体力の負担も増えてしまいます。

入塾前に、保護者の負担がどの程度かかるのか、しっかりと確認しておきましょう。

友達と同じ塾を選んで友達関係が気まずくなった

家から通いやすい塾を選ぶと、必然的に小学校の同級生なども同じ塾である可能性が高くなります。仲良しで同じ塾に通い始めたところ、一人は成績が伸びて上位クラスに行き、もう一人は下位クラスで成績が伸び悩んでしまうというケースもあります。

これまで成績などに関係なく仲良くしていたのに、クラスの差があることで友達との関係が気まずくなったという例はあります。また保護者どうしも疎遠になるケースもあるようです。

このような事態を避けるために、あらかじめ少し離れた場所の塾を選ぶご家庭もあります。また大手有名塾ではなく、小規模な塾をあえて選ぶという方法もあります。

塾が別でも、模試会場で出会うことも十分考えられますので、あまり気にせずにいるのが一番ですが、どうしても気になる場合は入塾前に学校での交友関係の配慮についても検討しておきましょう。

おすすめの集団塾

ここからは、おすすめの集団塾と個別指導塾を紹介していきます。お子さんにあった塾を選ぶために、比較してみてください。

【比較表】おすすめの集団塾

	特徴	塾のスローガン	主な合格実績校	公立中高一貫校対策講座	自習室	エリア
SAPIX（サピックス） 詳細を見る	難関校合格ノウハウが詰まったオリジナル教材	「学ぶ」が楽しい、あしたへ	難関〜最難関校			東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫
早稲田アカデミー 詳細を見る	NN（何がなんでも）志望校別コースで志望校を徹底対策	本気でやる子を育てる	中堅上位〜最難関校		空き教室を使用	東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城
Gnoble（グノーブル） 詳細を見る	少人数制クラスで、コミュニケーションを大切にする授業	わかる感覚、解く楽しさこそが「知の力」を育てます	難関〜最難関校			東京・神奈川・埼玉・千葉
日能研 詳細を見る	学ぶ楽しさを感じられるオリジナルテキスト	未来への学び	中堅～中堅上位校		空き教室を使用	北海道・首都圏・愛知・岐阜・関西・中国・四国・九州・沖縄
四谷大塚 詳細を見る	論理的課題解決力を育てるための「予習主義」	でてこい、未来のリーダーたち。	中堅上位〜難関校		空き教室を使用	東京・埼玉・神奈川・千葉
栄光ゼミナール 詳細を見る	10名程度の少人数クラスで、面倒見が良い	受験は戦略だ。	標準校～中堅上位校			東京・神奈川・埼玉・千葉・静岡・茨城・栃木・宮城・京都
ena 詳細を見る	公立中高一貫校対策に特化した指導	師・近距離	公立中高一貫校		空き教室を使用	東京・神奈川・埼玉・千葉ほか
市進学院 詳細を見る	クラス担任制＆個別フォローが手厚く、親身なサポート体制	めんどうみ合格主義	標準校～中堅上位校公立中高一貫校		空き教室を使用	東京・神奈川・埼玉・千葉ほか
臨海セミナー 詳細を見る	神奈川難関校を中心に、多様な進路にも対応	限りなき前進	標準校〜難関校			東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪　ほか
浜学園 詳細を見る	徹底した復習主義と段階的に学力を伸ばすスパイラル学習	未来に響け。	中堅〜最難関校		有料	兵庫・大阪・京都・滋賀・奈良・和歌山・愛知・広島・岡山・沖縄・東京・神奈川
希学園 詳細を見る	最難関校への高い合格実績と合格率	あつまれ、蒼き塾生たち。	難関〜最難関校		空き教室を使用	大阪 · 兵庫 · 京都 · 奈良　ほか
馬渕教室 詳細を見る	無料送迎バスの運行で安全面にも配慮	夢を持ったその日から君の未来は輝いている。	中堅〜難関校		空き教室を使用	大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀
能開センター 詳細を見る	計画的な学習をサポートする独自ツール	子どもたちの未来のために今すべきこと	中堅～中堅上位校		空き教室を使用	兵庫・大阪・京都・滋賀・奈良
湘南ゼミナール 詳細を見る	神奈川県の公立中高一貫校受検対策に強い	楽しく学ぶ毎日が、君をトップ校へ導く。	公立中高一貫校			神奈川・千葉・埼玉・東京 ほか
創研学院 詳細を見る	集団塾でありながら、個別指導のような寄り添い	自ら創造し研究する学び舎	中堅〜難関校			関東・関西・中国・四国・九州

徹底した復習主義の『SAPIX（サピックス）』

多くの難関校合格者を輩出するSAPIX（サピックス）。その鍵は、大手ならではの情報力に加え、「徹底した復習主義」にあります。

授業では、講師が板書する初見の問題に取り組み、思考力を鍛えながら、討論や解説を通して理解を深めていきます。そして、その日学んだ内容を家庭でしっかりと復習し、次の授業の小テストで定着を確認。このサイクルを繰り返すことで、確かな学力を身につけることができます。

ただし、学年が上がるにつれて教材の種類やボリュームも増えるため、教材整理や家庭での学習計画の立て方で親のサポートが必要になることが多い塾です。

さらに、1～2ヵ月に一度、テスト成績に応じた細かいクラス分けが行われます。レベルが高い子が集まる生徒数の多い大規模校では、子どもの立ち位置を把握しやすい反面、1問のミスでもクラス昇降が激しく緊張感があります。

周りのライバルと切磋琢磨しながら学ぶ環境が整っているので、難関～最難関校合格を目指して高いレベルで競争を楽しみながら実力をつけたい子におすすめの塾です。

本気を育む『早稲田アカデミー』

早稲田アカデミーは、「本気でやる子を育てる。」を教育理念に掲げ、難関校合格を目指す生徒を全力でサポートしてくれる塾です。

講師陣の熱量が高く、面倒見の良いとされる点が特徴のひとつ。生徒一人ひとりに対するフォローが手厚く、宿題チェックや質問対応にも熱心であると評判です。

特に人気なのが、「NN（何がなんでも）志望校別コース」。他塾の生徒も受講するほど評判の高い講座で、御三家・早慶などの難関校ごとに専用カリキュラムが用意されています。各学校の入試傾向を徹底分析した講師陣が、専用テキストをもとに直接指導してくれるため、志望校に特化した対策ができます。

宿題やテストの量は多めですが、それを乗り越えた先に確かな実力がつく環境が魅力で、高い目標に向かって努力を積み重ねられる子におすすめの塾です。

考える力を育む指導が強みの『Gnoble（グノーブル）』

大手塾と比べると歴史は浅いものの、難関校への高い合格実績で注目されているグノーブル。スローガンが「知の力を活かせる人に」とあるように、単なる知識の暗記ではなく、考える力を鍛える指導が大切にされています。そのため、授業で講師と生徒がコミュニケーションを取りやすいよう、他の大手塾と比較してより少人数制クラスとなっています。

グノーブルは、SAPIX出身の講師陣によって創設されており、カリキュラムはSAPIXと似ていますが、グノーブル独自のオリジナル教材の難易度はSAPIXより難しいという声も。プリントタイプの教材がメインとなっており、教材整理のサポートも必要になってくるでしょう。

多くの塾が5年生から週3回の通塾となる中、グノーブルは5年生時は週2回の通塾です。通塾回数が少ない分、家庭での学習時間を確保できますが、1回の授業で進む内容が多いため、スピード感のある学習が求められます。

進度と演習レベルは高いですが、難関～最難関校への合格を目指し、思考力を身に付けながら成長するのにおすすめの塾です。

楽しく学べる工夫が魅力の『日能研』

全国に157教室を展開する、老舗の大手塾のひとつ、日能研。「未来への学び」を掲げ、合格だけでなく、私学進学後、その先の持続可能な学びを大切にしています。授業を担当するのは全員プロ講師で、大学生のアルバイト講師がいない点にもこだわりが感じられます。

1クラスは約25名とやや大人数ですが、カリキュラムはゆっくり丁寧な進度で進められるため、他塾の進度が速すぎると感じる子や、じっくり理解したい子に向いています。一方、難関～最難関校を目指す場合は、難度の高い問題をやり込む時間を十分確保できるかが課題になります。

授業で使用するオリジナルテキストは、余白が大きく、考えたことやポイントを直接書き込める工夫がされており、ノートをとるのが苦手な子でも扱いやすい工夫があります。復習教材が冊子になっている点も、教材整理の負担を軽減できるでしょう。

また、質問対応は授業前後や休み時間にも気軽に行える雰囲気があり、そのアットホームな環境も好評です。クラス分けや席順はテストの成績順でシビアに決められますが、その競争を「酷」と捉えるのではなく、「モチベーション」にできるような指導も人気です。

予習×演習で自立学習を育む『四谷大塚』

中学受験のバイブルと称される「予習シリーズ」の生みの親である四谷大塚。その最大の特徴は予習重視の学習スタイルです。

考え方・解き方を教わる前に自分の頭で考え抜く「予習」こそ、論理的な課題解決力を育むと考えられているからです。予習をしっかり行うことで、授業での理解が深まり、復習となる宿題もスムーズにはかどります。ただし、テキストの解説を自力で理解するのが難しい場合、親が予習をサポートする場面も多いようです。

志望校対策は、難関校～中堅校の対策まで幅広く対応していて、学力上位のクラス以外へのサポートも手厚いと評判です。「予習シリーズ」で基礎から応用まで体系的に学ぶことができるため、幅広い志望校対策ができます。

さらに、AIを活用した志望校対策もいち早く導入されています。テスト結果と入試傾向をAIに分析させ、一人ひとりに合わせた演習問題を作成。効率的に弱点克服や志望校対策ができるのも魅力の一つです。

自学自習の習慣を身につけ、自身の学力に合った志望校対策をしたい子におすすめの塾です。

豊富な進路対策コースと手厚いサポートが魅力の『栄光ゼミナール』

Z会グループの集団塾である栄光ゼミナールは、1クラス10名程度の少人数クラスで、面倒見が良いと評判です。講師が一人ひとりに合わせて一週間ごとの学習計画を立案してくれるので、家庭学習のマネジメントに親が頭を悩ます負担が軽減されそうです。

また、全ての教室にブース型の自習室があり、授業日以外でも使用できます。静かに集中できる自習室で、近くにいる講師に気軽に質問できる環境は貴重です。

使用する教材は、Z会グループが作成する「新演習」シリーズ。基礎を定着させるのにわかりやすい内容です。

私立中受験対策のほか、公立中高一貫校対策、公立中進学対策など様々なコースがあるため、進路を明確に定められていない場合や途中で進路変更をしたい場合も相談できます。ただし、学校別の志望校別特訓はありません。

忙しくて親が勉強のサポートをしづらい、進路の選択肢を広げながら受験対策を進めたい、という子におすすめの塾です。

公立中高一貫校対策に強い『ena』

東京都を中心に展開するenaは、特に公立中高一貫校対策に強みを持つ塾です。科目の垣根を越えた教科複合型の出題である「適性検査」に対応するため、暗記型の学習ではなく、思考力、判断力、表現力を重視した指導が特徴です。

使用する教材は、適性検査に特化したオリジナルテキスト。対面授業に加え、スター講師陣による映像授業を自宅で受けられるのも魅力です。

enaの各校には、自習室も用意されています。家庭学習では集中力が続かない、やる気が出ないという子には、自習室の活用もおすすめです。

公立中高一貫校を第一志望に、公立中学進学からの高校受験も見据える子がまずは検討したい塾です。

手厚いフォローで基礎を固める『市進学院』

市進学院は、千葉県を中心に東京・埼玉・茨城にも展開する塾で、「めんどうみ合格主義」を掲げて基礎学力をしっかり固める指導に定評があります。授業の進度は比較的ゆっくりめにカリキュラムが組まれていて、新しい単元と復習を並行しながら理解を深める学習をしたい子に向いています。

また、理系講師と文系講師の2名体制でクラス担任制をとっているので、授業前後の質問対応も手厚いという声も多く、親身に寄り添ってくれるフォロー体制が魅力です。

私立中学受験コースのほか、公立中高一貫校受検コース、高校受験合格一貫コースと幅広い希望進路に合わせた講座選択ができます。ただし、大手塾にあるような志望校別の対策講座はないので、難関～最難関私立を目指すには別途対策が必要になりそうです。

市進学院は、面倒見の良い指導でしっかり基礎固めをしたい中堅～上位校を目指す子におすすめの塾です。

地域密着型で面倒見が良い『臨海セミナー』

神奈川県を中心に展開する臨海セミナーは、神奈川難関校に強いとされる地域密着型の塾です。独自の授業方式「臨海方式AQuA」は、発問に対して次々に指名されて答えていくスタイルで、集中していないと答えられないという緊張感を持って授業に臨めます。

また、「ほめる・認める・励ます」指導方針で、授業外でも補習や課題管理、学校別のテスト対策を行うなど、手厚いサポート体制も評判です。

通塾日以外でも自習室が使用できるので、家では勉強に集中できないという子にもおすすめです。

授業料についても、良心的な価格設定となっています。国立・私立対策だけでなく、公立中高一貫校対策コースもあります。また、高学年になっても算・国2教科だけの授業料設定もあり、目的に合わせた授業選択ができる点も特徴的です。

無料体験期間が1ヵ月（季節講習は講習期間＋1ヵ月）と長い期間が設定されているので、まずは集団塾の雰囲気を試してみたいという家庭にもおすすめの塾です。

関西トップクラスの実績を誇る『浜学園』

関西を中心に展開する浜学園は、灘中・東大寺学園中・甲陽学院中などの最難関校に高い合格実績を誇る老舗塾です。学習スタイルは、徹底した復習主義に加え、学んだ内容を何度も繰り返し学習する「スパイラル学習」が特徴です。

また、浜学園は多くの塾と同様に定期的に成績に応じたクラス分けがされていますが、「常在戦場」を標語として掲げ、特に競争環境を重視しているようです。競争原理を正しく用いることにより学習能率を高め、強い心を育てるという教育方針があるからです。

授業の進度は早く、宿題量も多いとされているので、家庭学習で親のサポートが必要となる場面は多いでしょう。ただし、保護者が講師に相談しやすい環境もあります。「個別教育相談」は定期実施ではなく、必要なタイミングで随時対応してもらえるため、積極的に利用すれば不安や迷いが生じた時の安心材料になりそうです。

関西の難関～最難関校を目指し、高い学習レベルの環境で実力をつけたい子におすすめの塾です。

最難関校合格を目指す精鋭塾『希学園（関西）』

関西で9教室を展開する希学園（関西）は、灘中・東大寺学園中・洛南高附属中などの最難関校に特化した指導で知られる塾です。近年の実績では、塾生の90％以上が偏差値60以上の難関校に合格する年もあり、高い合格率を出しています。

浜学園出身の講師が設立した塾とあり、復習主義、スパイラル方式という学習スタイルの類似点も多い塾です。

また、進度が早く、宿題量も多い塾ですが、サポートの手厚さも高く評価されています。長めに設定された授業時間の中には、講義に加えて宿題や復習に取り組む自習時間が組み込まれています。宿題チェックも細やかで、叱咤激励やアドバイスの声かけも丁寧なのだそうです。自習室も完備されており、授業前後の質問対応に加え、電話でも質問に応じてくれます。

入塾テストの基準は高めですが、少人数制の徹底指導を受けながら、最難関校合格を目指したい子におすすめの塾です。

着実に学力を積み上げる指導と手厚いサポートが魅力の『馬渕教室』

関西・東海地方を中心に展開する馬渕教室は、近年、灘中などの最難関校の合格実績を伸ばしながら、中堅～難関校まで幅広い志望校に対応してくれる塾です。オリジナルテキストを用いて、授業→宿題→確認→フォローの学習サイクルを基本としながら、最難関向け講座には予習動画も導入されています。

学年を超えての無理な先取り学習は行わず、授業の進度は比較的時間をかけて丁寧に進められているようです。さらに、通常授業を一時休止し、理解が不十分な単元や重要単元の復習に充てる「特別補講日」が設けられているのも特徴的。授業で学んだ内容を確実に定着させるための仕組みが整っているので、苦手を放置せず、バランスよく学力を伸ばせます。

また、家庭学習のフォロー体制も充実していて、自習室の完備はもちろん、いつでも質問可能なチューターの配備など、学習環境のサポートが手厚い点も魅力です。さらに、一部の教室では無料送迎バスを運行し、横断歩道では講師が立って見守るなど、安全面への配慮も徹底されています。

学力だけでなく人間力も育む『能開センター』

能開センターは、関西・東北・四国を中心に展開する地域密着型の塾で、学習指導だけでなく、あいさつや志、思いやりの心といった、人としての教育も大切にしています。授業では、オリジナルテキストを用いて「導入（説明）」→「展開（演習）」→「定着（解説）」のサイクルで類題を繰り返し解くことで学力を定着させるスタイルがとられています。

また、「能開ダイアリー」という目標に向けた計画の立て方をサポートするツールや、「パワーアップノート」というテストや授業の分からなかった部分や間違った問題を集めたノートづくりの指導があり、自学自習のやり方を身につけるのに役立ちます。

授業前後の質問対応に加え、希望者には授業後のフォローアップタイムを設けてもらえたり、質問・自習教室が開講されるなど、サポート体制も手厚い塾です。

志望校合格を目指すとともに、計画性を持った学習の方法や習慣を身につけ、人としての成長を目指したい子におすすめの塾です。

神奈川県の公立中高一貫校対策に強い『湘南ゼミナール』

神奈川県を中心に展開する湘南ゼミナールは、サイフロ附属中、南附中をはじめ、相模原中等・平塚中等・川崎附中といった公立中高一貫校の受検対策に強い塾です。学校ごとの特色ある適性検査や作文といった選抜方法に対応できるよう、公立中高一貫校受検に特化した専門の講師による志望校別の対策授業が受けられます。

対話式の独自の授業スタイルが特徴で、講師が一方的に説明するのではなく、生徒同士の発言を重視しながら学ぶスタイルは思考力や表現力を伸ばしやすいと評判です。また、宿題の仕⽅や⼩テストに向けた勉強⽅法の指導にも力が入れられており、自学自習の習慣が身についたという声もあります。

神奈川県の公立中高一貫校を目指すなら、ノウハウと実績が豊富な湘南ゼミナールがおすすめです。

徹底した面倒見が魅力の『創研学院』

関西・関東・四国を中心に、地域密着型の塾として展開されている創研学院。授業のための予習は不要で、復習重視の学習スタイルがとられています。

最大の特徴は、成績を上げるために必要なことは塾で完結できるようにと、宿題・ノートチェックから間違い直しまで、塾で徹底して面倒を見るという方針が掲げられている点です。ブース型の自習室も完備されていて、分からない問題はいつでも質問できる環境が整っています。勉強は塾にお任せしたいという家庭に向いている塾と言えます。

ただし、志望校合格に向けて学習内容や課題の調整があるものの、志望校別の対策講座などがない点は留意しておく必要があります。

集団塾の良さもありながら、個別指導のように二人三脚で伴走してくれる良さがある塾です。

おすすめの個別指導塾

続いて、おすすめの個別指導塾を7社ご紹介します。

【比較表】おすすめの個別指導塾

	特徴	塾のスローガン	授業形式	講師	授業料（4年生：月額）	自習室
明光義塾 詳細を見る	教室数、生徒数ともに最大手	圧倒的な楽しさで勉強が好きになる	1対3	・社会人 ・学生	90分授業：12,100円（税込）45分授業：7,150円（税込） ※週1回の場合	空き教室を使用
個別教室のトライ 詳細を見る	完全マンツーマン＆専任制	人は、人が教える。人は、人が育てる。	1対1	・社会人 ・学生	90分授業：26,000円（税込） ※週1回の場合
TOMAS 詳細を見る	志望校合格から逆算するオーダーメイドのカリキュラム	TOMASは、個別なのに進学塾。	1対1	・社会人 ・学生	不明
東京個別指導学院 詳細を見る	ベネッセグループ運営の信頼性と豊富な教育ノウハウ	「まなび方」を育て「自学力」を伸ばす	1対1 1対2	・社会人 ・学生	80分授業：26,000円（税込） ※週1回の場合
森塾 詳細を見る	中学受験対策をする前段階に	たくさんの子どもたちの笑顔を育む、「森」のような塾でありたい。	1対1 1対2	・社会人 ・学生	45分授業：5,880円〜 ※週1回の場合
スクールIE 詳細を見る	中学受験の映像授業が月額220円で見放題	やる気スイッチを、入れませんか？	1対2	・社会人 ・学生	不明
Z会 詳細を見る	東大・早慶などの難関大生による完全1対1の個別指導	完全１対１の個別指導	1対1	・社会人 ・学生	不明

個別指導塾のパイオニア『明光義塾』

個別指導塾のパイオニアである明光義塾は、教室数、生徒数ともに最大手。小学生は45分または90分授業を1コマとし、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの学習プランをもとに、対話型の授業で自ら考えることを重視した指導が特徴です。1対複数人のスタイルの個別指導で授業が行われます。

明光義塾には基礎から応用まで対応したオリジナル教材も充実していますが、それだけでは中学校受験対策としては不十分なため、志望校に合わせて講師と相談しながら選択していく必要があります。

安全面においては、明光義塾はパーティションで仕切られた個別ブースで指導が行われており、教室長の巡回に加えて全教室に24時間稼働の防犯カメラが設置されているため、安全管理の面でも高い評価の個別指導塾と言えます。

専任制の完全1対1指導が魅力の『個別教室のトライ』

個別教室のトライは、1対1の完全マンツーマン授業の個別指導が受けられます。さらに、毎回同じ講師が担当する専任制なので、一貫した学習フォローを受けられるのが大きな特徴です。もし、子どもと相性が合わない場合も、無料で交代をお願いできる点も安心材料です。

大手集団塾との併用ノウハウも蓄積されているようで、上位クラスに上がりたい、宿題の取捨選択をサポートしてほしいなどの相談にも対応してくれています。

個別教室のトライには、いつでも自由に使える自習スペースも完備されているほか、オンラインでの個別指導授業にも対応しています。自分に合った学習環境で、効率的に成績を伸ばしたい子におすすめの個別指導塾です。

難関校合格も目指せる“進学”個別指導塾『TOMAS』

リソー教育グループが運営する個別指導塾TOMAS（トーマス）は、補習塾型の個別指導塾ではなく、「進学塾」ということにこだわりを持ち、男女御三家や難関公立中高一貫校にも多くの合格者を出しています。集団塾でのクラスを上げたいという相談から入った生徒に対しても、最終的な目標は志望校合格であることを踏まえたオーダーメイドのカリキュラムや授業スケジュールを提案してくれます。

講師が生徒の前に立ち、大きなホワイトボードを使って1対1で対話しながら進める授業スタイルで、板書をノートにとらせることも大切にされている点も、家庭教師のようなスタイルの個別指導とは大きく異なる雰囲気です。また、広くて静かな自習室も完備されており、設備面も充実しています。

志望校合格に向けて個別の対策を行いたい、集団塾は苦手だが難関校対策のノウハウを持った講師に指導して欲しいという子におすすめの個別指導塾です。

講師との相性を慎重に見極める『東京個別指導学院』

関東を中心に展開する東京個別指導学院は、大手教育企業「ベネッセグループ」による全直営の個別指導塾です。教科別に講師3～4人の授業を受けてから、教室長と相談して担当講師が決められるので、子どもの性格・学力に合った講師が選びやすいと評判です。

カリキュラムは完全オーダーメイドで、中学受験対策プラン、集団塾併用プラン、苦手克服プランなど幅広く対応してくれます。質問もできる自習スペースも完備されており、定期的な学習相談など、サポート体制も整っています。

費用面においては、入会金・年会費不要で、当日でも授業開始前までに欠席連絡すれば無料振替が可能な点が良心的です。

講師との相性を大切にしながら、きめ細かな指導を受けたい子におすすめの個別指導塾です。

安心の授業料の『森塾』

全国に241校舎展開する森塾は、リーズナブルな価格設定で知られる個人指導塾です。「先生1人に生徒2人まで」の個別指導で、一人ひとりにとことん向き合いながら個性や理解度に合わせて丁寧に指導する授業方針がとられています。

自習室も完備されていて、空いている時間は自由に使用できます。

対応教科は算数・国語・英語（英検対策）に限定されており、中学受験対策に特化した指導は行われていません。一方で、学校の成績を上げることが得意とされています。中学受験を検討する前に、まずは学校でのつまずきを解消して成績を上げたい、授業中のできる・わかるを増やして勉強への苦手意識を和らげたいという子におすすめの個人指導塾です。

個性に合わせたオーダーメイド指導が魅力の『スクールIE』

全国に1200教室以上を展開するスクールIEは、「やる気スイッチ」のCMでおなじみの個別指導塾です。「学力診断テスト」の他に200問以上の質問から分析する「個性診断テスト」も実施して、子どもの個性と現在の学力を把握してくれます。そして、その結果をもとに、オーダーメイドのカリキュラム設定と最適な講師をマッチングしてくれると評判です。

スクールIE の指導スタイルは1対1～2の授業形式で、解説と演習を交互に繰り返すスタイルです。完全担任制で徹底伴走してくれるとともに、月額220円（税込）で一流講師による中学受験の全教科に対応した映像授業が見放題という、集団塾に匹敵するサポート体制も魅力です。

また、私立難関校対策から公立中高一貫校対策まで幅広い対策相談が可能な点からも、進路選択の可能性を広げるサポートをしてくれる個別指導塾と言えます。

未来を見据えた難関中学対策には『Z会の個別指導教室』

Z会の個別指導教室では、小4～小6を対象に「中学入試コース」が設けられています。完全1対1の指導スタイルを採用し、難関中学合格に向けた対策だけでなく、5年後・10年後にも必要とされる学力や学習姿勢を養うことが重視されています。

指導を担当する大学生講師の6割以上が東大・東京科学大（旧東工大）・一橋大・早慶大に在籍しているとのことで、憧れの中高一貫校出身の先輩を講師に指名できる可能性もありそうです。憧れの先輩に1対1で指導してもらい、モチベーションを高めたいという子におすすめです。

さらに、個別指導の授業に加え、AIが理解度や学習履歴、ミスの傾向を分析し、最適な学習内容を提供する教材「atama+」にも注目。基礎固めや弱点克服を効率的にサポートしてくれます。

教室数は都内および横浜に10拠点と限られていますが、自習室の設備面も充実しています。中学受験だけでなく、その先の大学入試や将来まで見据えた学習をしたい家庭におすすめの個別指導塾です。