何割の子が中学受験するの?最新の受験率を紹介
2025.06.02

「中学受験、検討してみようかな?」そう考え始めると、周囲が気になってくるもの。
中学受験をすることは一般的なことなのか?
自分たちの住む地域では、どのくらいの割合で中学受験に挑むのか?
そんな客観的な部分をきちんと見極めつつ、受験するかどうかを考えたいものですね。
そこで今回は、地域ごとの中学受験率について紹介します。
なんと首都圏の中学受験率は20%以上! 23区内の「文教地区」と呼ばれる地域では受験率が50%以上に及ぶ場所もあります。
東京都はもちろん、全国都道府県の受験率なども紹介しているので、参考にしてみてくださいね。
中学受験の割合
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首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県)の中学受験率は推定20%以上
- 東京都の2023年調査では、小学6年生の22.1%程度が受験した中学校に進学
- 市区町村別データでは文京区 51.1%・港区 46.3%・中央区 45.1% が多い
- 都道府県別に見ると高知県のほか、関西圏の受験率が高い
目次
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首都圏の中学受験率は私立・国立・公立合計で20%超え
まずは全国の中でもとくに中学受験率が高い、首都圏の数字を見てみましょう。
「首都圏模試センター」によると、2025年に首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県)で私立・国立中学を受験した生徒の割合は18.10%。
私立・国立中学と併願するパターンがあるものの、公立一貫校の適性検査の受検者を加えると、20%以上になると推定されています。5人に1人の生徒が受験(または受検)に挑んでいることになります。
首都圏の私立・国立の中学受験者数は2014年から右肩上がりを続け、2023年には52,600人と過去最高に。2024年からは少子化の影響で微減していますが、中学受験の割合は2023年の17.8%からぐんと増加しています。
首都圏での中学受験熱の高まりを感じますね。
東京都の私立中学進学者は20.1%、国立は0.4%
次は、東京都に限定して、中学受験に関する数字を見てみましょう。
「東京都教育委員会」の最新データによると、2023年の私立中学への進学者は卒業生徒数の20.1%。国立中学へは0.4%、都立中高一貫校への進学は1.6%です(合計22.1%程度が地域の公立中学ではなく、受験した学校に進んでいるという計算になる)。
実際には国立や都立中高一貫校にも多くの子ども達が受験していますが、そもそもの学校数が少ないため進学率としては低めになっています。
ツナ中
編集部
東京都では中学受験のみを実施し、高校からの募集を停止する中高一貫校が近年増加しました。
私立だけでなく、特に都立中高一貫校の高校募集停止が顕著です。そのため、全国的に見ても中高一貫校への進学者率が高くなっています。
市区町村ごとの進学率は? 都内でも進学率に差あり!

東京都の私立・国立中学への進学率の高さを改めて実感した方も多いのではないでしょうか?
しかし、一言で東京都といっても、地域によって進学率に大きく差があります。
以下の表は、2023年の東京都における私立・国立・都立中学への進学率を、市区町村でランキングにしたものです。
【東京都】私立・国立・都立中学への進学率
1位 | 文京区 | 51.1% | 15位 | 中野区 | 27.9% | 29位 | 稲城市 | 15.8% |
2位 | 港区 | 46.3% | 16位 | 北区 | 27.1% | 30位 | 足立区 | 14.2% |
3位 | 中央区 | 45.1% | 17位 | 大田区 | 25.2% | 31位 | 多摩市 | 14.2% |
4位 | 渋谷区 | 43.6% | 18位 | 三鷹市 | 24.0% | 32位 | 葛飾区 | 13.9% |
5位 | 千代田区 | 43.0% | 19位 | 荒川区 | 22.0% | 33位 | 江戸川区 | 12.9% |
6位 | 目黒区 | 41.6% | 20位 | 狛江市 | 21.3% | 34位 | 立川市 | 12.5% |
7位 | 新宿区 | 39.2% | 21位 | 調布市 | 21.0% | 35位 | 小平市 | 12.3% |
8位 | 世田谷区 | 38.7% | 22位 | 小金井市 | 19.3% | 36位 | 府中市 | 11.7% |
9位 | 豊島区 | 38.5% | 23位 | 練馬区 | 19.3% | 37位 | 町田市 | 6.3% |
10位 | 品川区 | 36.8% | 24位 | 板橋区 | 19.2% | 38位 | 羽村市 | 5.5% |
11位 | 武蔵野市 | 36.0% | 25位 | 国分寺市 | 18.5% | 39位 | 武蔵村山市 | 5.5% |
12位 | 杉並区 | 34.9% | 26位 | 国立市 | 18.3% | 40位 | 青梅市 | 4.5% |
13位 | 台東区 | 32.3% | 27位 | 奥多摩町 | 16.7% | 41位 | 瑞穂町 | 3.7% |
14位 | 江東区 | 28.5% | 28位 | 西東京市 | 16.8% |
ランキングについて:東京都教育委員会「公立学校統計調査報告書」の卒業後の進学者数より「ツナガル中学受験」編集部で集計
※都外中学への進学者は含まない
※檜原村、大島町、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村は進学者なし
※利島村は進学率が50.0%であるものの、卒業人数が少数のため除外
※小数点1桁以下は切り捨て
都内でも、大学などの教育研究施設や、図書館や博物館などが集まり「文教地区」と呼ばれる文京区や港区、千代田区の進学者率の高さが目立ちます。
文教地区は、教育熱心な家庭が住んでいると耳にしたことがある方も多いはず。納得感のある数字ともいえますね。
自分が住んでいる地域の進学者率からは、実際に子どもが中学受験をする際に、周囲にどれだけ同じ状況の子どもがいるかどうかを知る指標にもなります。
全国の中学受験率、高いのは東京だけじゃない

画像引用:灘中学校公式サイト
それでは次に、視点を全国に広げて見てみましょう。
2023年の文部科学省「学校基本調査」によれば、全国の中学生を母数にすると、私立中学に通っている割合は約8.64%。
出典:文部科学省「学校基本調査」
これまで東京などの進学者率を見る限り、首都圏が全国割合のパーセンテージをアップさせているようにも感じますが…実際はどうなのでしょうか。
関西は中学受験激戦区!?
日能研関西によれば、2024年の関西(2府4県:大阪 京都 兵庫 奈良 滋賀 和歌山 関西)における中学受験率は10.17%。2023年から引き続き、10%を超える高い割合になっています。
首都圏においては、東京都や神奈川県が受験率を牽引している印象ですが、関西圏においては奈良県や京都府をはじめ、大阪府や兵庫県など、関西2府4県の受験率は全体的に高い傾向にあります(都道府県別の受験率の表を参照)。
ツナ中
編集部
灘・洛南・東大寺の関西御三家と呼ばれる名門中学が存在していること、比較的近隣県との交通の便がよく通学がしやすいことなどに加え、2024年度から全国に先駆けて大阪府が行っている高校授業料の完全無償化が、関西圏の中学受験熱の高まりに影響しているようです。
全国的に見ると、高知県と奈良県の受験率も高い
それでは、都道府県別の中学受験率はどうなっているのでしょうか?
東京都が群を抜いて高いものの、少し意外なランキングになりました。
都道府県別の受験率
1位 | 東京都 | 26.65% | 17位 | 福岡県 | 5.91% | 33位 | 熊本県 | 3.71% |
2位 | 高知県 | 20.89% | 18位 | 岡山県 | 5.83% | 34位 | 群馬県 | 3.67% |
3位 | 奈良県 | 14.42% | 19位 | 茨城県 | 5.52% | 35位 | 青森県 | 3.31% |
4位 | 京都府 | 14.39% | 20位 | 鳥取県 | 5.50% | 36位 | 栃木県 | 3.28% |
5位 | 広島県 | 11.94% | 21位 | 埼玉県 | 5.49% | 37位 | 北海道 | 3.25% |
6位 | 神奈川県 | 11.57% | 22位 | 沖縄県 | 5.42% | 38位 | 新潟県 | 3.22% |
7位 | 和歌山県 | 11.23% | 23位 | 山口県 | 5.40% | 39位 | 宮城県 | 3.20% |
8位 | 大阪府 | 10.49% | 24位 | 鹿児島県 | 5.37% | 40位 | 岐阜県 | 2.88% |
9位 | 兵庫県 | 8.91% | 25位 | 愛知県 | 5.31% | 41位 | 富山県 | 2.67% |
10位 | 宮崎県 | 8.48% | 26位 | 三重県 | 5.30% | 42位 | 福島県 | 2.46% |
11位 | 山梨県 | 7.89% | 27位 | 徳島県 | 4.69% | 43位 | 岩手県 | 2.29% |
12位 | 佐賀県 | 7.21% | 28位 | 滋賀県 | 4.50% | 44位 | 福井県 | 2.03% |
13位 | 千葉県 | 7.08% | 29位 | 愛媛県 | 4.19% | 45位 | 秋田県 | 1.84% |
14位 | 静岡県 | 6.45% | 30位 | 長野県 | 4.04% | 46位 | 山形県 | 1.55% |
15位 | 長崎県 | 6.37% | 31位 | 石川県 | 3.88% | 47位 | 島根県 | 1.49% |
16位 | 香川県 | 6.02% | 32位 | 大分県 | 3.76% |
※上記は2023年の文部科学省「学校基本調査」をもとにしたデータ
※実際に受験した割合ではなく、中学生100人に対する国立・私立中学の生徒数をもとに割合を算出
なんと、東京に続いて第2位の中学受験率を示しているのは高知県。
高知県のトップ校は土佐高等学校や土佐塾高等学校などの私立高校が多く、そういった高校に入学するために、付属の中学を受験する、という流れが高知県では一般的なのだそう。
人口が多く政令指定都市などがあり、一見すると中学受験率も高くなりそうな埼玉県や宮城県などの受験率が低い理由には、高知県とは真逆の理由があります。
埼玉県や宮城県では、公立高校に優秀な学校が多く評価が高いため、中学受験をする必要性を感じにくい家庭が多いのかもしれません。
受験者が増えている、その理由とは
少子化が進む一方で、首都圏や関西圏を中心に受験熱は加速しています。なぜ多くの家庭が、高校ではなく中学時点での受験を検討するのでしょうか?
ここでは、昨今、中学受験を検討する、実際に受験する家庭が増えている要因について紹介します。
受験率増加の要因として考えられること
完全中高一貫校の増加

画像引用:東京農業大学第一高等学校中等部・高等部公式ページ
現在、高校からの募集を停止して完全中高一貫化にシフトする学校が増えています。つまり、「高校からあの学校に行きたい!」と考えても、手遅れになってしまう場合があるのです。
これには、6年間かけてしっかりと生徒を育成したい、5年間で6年分のカリキュラムを修了して受験勉強や総合学習の時間を多く取りたい、などの学校側の思いがあります。
実質的に、中学受験でしか入学できない学校が増えている、ということが、中学受験熱が加速する一因になっているようです。
女子校の場合、もとから高校入試での募集がない、という学校も多くあります。
近年、高校入試での募集を停止し、完全中高一貫校に変更した私立学校は以下のとおりです。
高校入試での募集を停止した私立学校(一部を掲載)
- 成城学園中学校高等学校(東京都)/2019年度より停止
- 本郷中学校高等学校(東京都)/2021年度より停止
- 豊島岡女子学園中学校高等学校(東京都)/2022年度より停止
- 東大寺学園中学校高等学校(奈良県)/2023年度より停止
- 広尾学園小石川中学校高等学校(東京都)/2024年度より停止 ※帰国生のみ外部募集あり
- 東京農業大学第一高等学校中等部(東京都)/2025年度より停止
入試の多様化
入試方法の多様化も、受検者数の増加に寄与しています。
中学受験といえば、国算理社の4教科での受験が一般的。しかし現在、その入試方法は多様化し、国数の2教科受験や算数受験、自己PRやプレゼンテーション、英語を生かした受験などさまざまな形式から自分に合う入試方法を選ぶことができます。
この変化によって増えるのが「ゆる受験」。がっつり受験に時間を使うのは難しいけれど、受験はしてみたい、という層の家庭です。
「習い事を頑張っているから全教科は無理だけれど、得意な算数のみの受験ならいけるかも」
「得意な英語で受験してみよう」など、選択肢が増えることで、中学受験に挑戦しやすくなっているのです。
2教科・算数・英語受験を取り入れている学校(一部を掲載)
- 巣鴨学園中学校高等学校(算数1教科受験)
- 攻玉社中学校高等学校(算数1教科受験/英語・日英面接での入試)
- 高輪学園中学高等学校(算数1教科受験)
- 世田谷学園中学校高等学校(算数1教科受験)
- 鎌倉学園中学校高等学校(算数1教科受験)
- 明治学院中学校高等学校(国算2教科受験)
- 星稜中学校高等学校(国算2教科受験)
- 香蘭女学校中等科高等科(国算2教科受験)
- かえつ有明中学校高等学校(国算2教科受験)
- 東京農業大学第一高等学校中等部(国算2教科受験)
- 渋谷教育学園幕張中学校高等学校(英語・日英面接での入試)
- 洗足学園中学高等学校(英語・英面接での入試)
教科受験以外の受験方法を取り入れている学校(一部を掲載)
- 思考力・適性検査型入試
・宝仙学園中高共学部理数インター
・共立女子中学校・雲雀丘学園中学校 - プレゼンテーション・グループワーク型入試
・宝仙学園共学部理数インター
・かえつ有明中学校
・八王子実践中学校
・関東学院六浦中学校 - プログラミング・STEAM型入試
・聖園女学院中学校
・昭和学院中学校
ツナ中
編集部
こういった入試は得意分野で勝負できたり、教科書的な学習が苦手な子もチャンスがあります。
「塾なし中学受験」として、小学校での生活を大切にしながらの受験を望む家庭に支持されています。
高校授業料完全無償化
全国の高校を対象に、授業料無償化の所得制限を撤廃し、2026年からは支援額も増やすと、政府が方針を決定しています。私立高校に通う生徒に対しても一定額が支給されます。
つまり、「高校の授業料が軽減するなら私立の中高一貫校も可能かも」と中学受験を検討する家庭が増えているのです。
全国に先駆けて、大阪府が2024年度から段階的に開始している高校授業料の完全無償化では、府内の私立中高一貫校においても高校の3年間が無償になります。東京都においても、所得制限なく私立高校の授業料支援が受けられる政策がスタートしています。
首都圏、関西圏での受験ブームを加速させている要因ともいえそうですね。
特徴的な教育環境の学校が注目されている

画像引用:山脇学園中学校・高等学校のサイエンス教育
中学受験を検討するのは、高い偏差値の学校を目指す「勉強ができる優秀な子」ばかりではありません。
昨今、多くの中高一貫校が特色豊かな教育方針で生徒たちに向き合っています。
留学制度が充実していたり、成長がのんびりな生徒に合わせてくれたりと、校風は学校によってさまざま。
とにかく偏差値の高い学校に行ってほしい、という目的だけではなく、我が子に合った環境で中高時代を過ごしてほしいという願いからの中学受験も増えているのです。
特色ある教育を展開する私立中学の例
- 工学院大学附属中学校(東京都八王子市)
・K-STEAM教育:科学・技術・工学・芸術・数学を統合 - 山脇学園中学校(東京都港区)
・サイエンス教育:科学分野の課題探究活動 - 京都先端科学大学附属中学校(京都府)
・探究型学習「地球学」:地球環境保全や多文化理解、世界平和、表現力育成などについて学ぶ - アサンプション国際中学校(大阪府箕面市)
・英語イマージョン教育:英語で数学や理科を学ぶカリキュラム
まとめ
周囲に中学受験の話題が増えてくると、「うちも受験したほうがいいのかも?」と焦ってしまいますよね。
中学受験率が示すように、年々、中学受験は小学生を持つ家庭にとってより身近なものになっています。魅力的な校風を持つ学校が増え、偏差値だけが学校を決めるポイントではなくなっていることも、大きな要因です。
中学受験率を参考にするのはもちろん、子どもに合う学校がどこか? そもそも中学受験が向いているのか? など、多角的に子どもを観察して、中学受験をするかどうかを検討してみてくださいね。