中学受験で転塾した子は41%以上!転塾のタイミングと合格率を転塾経験者に調査
2025.10.31

中学受験は、お子さんだけでなく保護者にとっても大きな決断の連続です。その中でも特に悩ましいのが「塾選び」「転塾」ではないでしょうか。
「今の塾を続けていて、本当に第一志望に合格できるのだろうか?」
「転塾って、いつまでに考えるべき?失敗が怖い…」
そんな悩める保護者の皆さんに向けて、ツナガル中学受験では「中学受験における転塾」の実態調査として、中学受験を目指して塾に通っていたお子さんのいる313名の保護者を対象にアンケート調査を行いました。
中学受験における「転塾」という大きな決断が、いつ、どれくらいの割合で行われ、最終的にどのような結果と結びついているか。調査結果をご紹介します。
調査結果のサマリ
- 中学受験での転塾は約41%(10人に4人)が経験する、一般的な選択肢になっている
- 転塾のタイミングは、受験勉強が本格化する5年生がピーク
- 「転塾した」子の合格率は、「転塾しなかった」子の合格率よりも約18%低いという結果に
- 転塾した子の中では、低学年で転塾した子の合格率が一番高い
【調査概要】
調査エリア:全国
調査主体:株式会社キュービック「ツナガル中学受験」
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:直近5年以内に中学受験(一般入試)を目指すために、塾に通っていた子どものいる保護者(計313名)
調査期間:2025年7月25日~8月7日
転塾を経験した子は全体の約41%!

| 全体 | 転塾した | 転塾しなかった |
|---|---|---|
| 313名 | 129名 | 184名 |
| 100.00% | 41.20% | 58.80% |
アンケートでは、全体の41.2%(10人中4人以上)が転塾を経験していることが分かりました。
これは、多くの家庭が当初選んだ塾に何らかの課題を感じ、途中で見直しを図っている実態を示しています。約4割が経験する「転塾」は、珍しい選択ではなくなっていると言えそうです。
ツナ中
編集部
転塾の理由としては、「学力・成績の伸び悩み」「塾の指導・環境とのミスマッチ」「志望校対策への不安」などが多いようです。
転塾のタイミングで一番多いのが5年生の約44%

| 1~3年生の時にあり | 4年生の時にあり | 5年生の時にあり | 6年生の時にあり |
|---|---|---|---|
| 22名 | 20名 | 57名 | 30名 |
| 17.05% | 15.50% | 44.19% | 23.26% |
転塾経験者のうち、44.19%が5年生で転塾しています。5年生での転塾は、他の学年と比べて突出して高い数値です。
なぜ5年生の転塾が多い?
5年生は受験カリキュラムが本格化・高度化する学年です。「このまま今の塾で大丈夫?」という不安から、6年生の追い込み期を前に塾を見直す“最後のチャンス”と捉えて転塾に踏み切る家庭が多いのかもしれません。
また、5年生までに受けた模試などの結果を踏まえ、成績が伸び悩んでいる場合は志望校のレベルを下げ、逆に成績が思った以上に伸びてきた場合は、より難関校を目指して最適な塾を選び、受験本番に向けた準備を進めるケースもあります。
6年生での転塾も約23%
注目したいのが、最終学年である6年生でも約4人に1人が転塾している点です。これは、環境を変えることで成績の伸びに期待する「最後の賭け」としての行動や、受験校を決めたうえで最適な環境を整えようとする準備の一環である可能性が考えられます。
「転塾した子」の合格率が「しなかった子」と比べて約18%低いという結果に

| 転塾した | 転塾しなかった | |
|---|---|---|
| 全体 | 129名 | 184名 |
| 志望校に合格した | 81名 | 149名 |
| 62.79% | 80.97% |
転塾の決断は難しいもの。
転塾をした子の多くは成功しているのか、失敗しているのか、気になる方も多いのではないでしょうか?
アンケート結果では、両者には約18%の差がありました。「転塾」という行動が、必ずしも合格率の上昇に直結していないどころか、むしろ、転塾した子の方が合格率が低いという結果です。
ツナ中
編集部
一方で、このデータの解釈には注意が必要です。
そもそも転塾を検討するのは、「成績が伸び悩んでいる」「このままでは合格が厳しい」といったケースが多いため、もともと苦戦している層のデータが色濃く反映されている可能性があります。
お子様に合った塾に移って成功する例も多くありますので、この調査結果はあくまで傾向の一つとしてご参照ください。
低学年での転塾は合格率77%、4年生以降は55%~61%と伸び悩む

転塾しなかった子の方が合格率が高いという結果を先に記しましたが、転塾のタイミングで見ると、大きな差があることが分かりました。
| 1~3年生の時にあり | 4年生の時にあり | 5年生の時にあり | 6年生の時にあり | |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 22名 | 20名 | 57名 | 30名 |
| 第一志望校に合格した | 17名 | 11名 | 35名 | 18名 |
| 77.27% | 55.00% | 61.40% | 60.00% |
低学年(1~3年生)の転塾は成功率が高い
低学年(1~3年生)で転塾した子の合格率は約77.3%と、高い数値になりました。これは、転塾しなかった子の81.0%に迫る水準で、他の学年(55%~61%)での転塾と差があります。
受験勉強が本格化する前の早い段階で塾との相性を見極め軌道修正すれば、学習への悪影響(カリキュラムのズレ、家庭学習での負担など)を最小限に抑えられます。
また、この時期の転塾は成績不振が理由ではなく、より良い受験環境を求めるポジティブな意味合いが強く、結果的に良い方向につながっていると考えられます。低学年での転塾なので、最適な環境で中学受験のスタートラインと言われる「新4年生」を迎えられるという部分もあるでしょう。
低学年での転塾は、最高のスタートダッシュを切るための「調整」として機能した場合が多く、高い合格率に結びついているのかもしれません。
4年生以降の転塾は慎重に
学習が本格化する4年生以降に転塾した層の合格率は55%~61%という結果は、注目していただきたいポイントです。
この時期の転塾は、成績の伸び悩みや、塾のやり方が合わないといった問題が顕在化してからの「対策」であるケースが多いと推測されます。すでに学習面でビハインドを負っている可能性があり、転塾しても挽回が難しい状況がうかがえます。カリキュラムの違いや新しい環境への適応など、高学年になるほど転塾のリスクが高まるのは事実なので、慎重になるべきかもしれません。
とはいえ、4年生以降のタイミングで、「このままでいいのだろうか」と転塾が頭をよぎることは、決して珍しいことではありません。実際には、環境を変えたことでお子さんのスイッチが入り、見事に状況を好転させて合格を掴み取った例もたくさんあります。
この記事のまとめ
今回の調査から、「志望校合格」という観点では、転塾は慎重に判断すべき戦略であることがわかりました。
とはいえ、お子さんの受験に寄り添い、得意・苦手をよく把握している親御さんの感覚こそが、転塾の判断において最も大切だとも感じます。
もし「今の塾は合っていないかも」と思ったら、周囲の評判に流されず、お子さんとじっくり話し合って決めていきましょう。
家族みんなで納得して出した決断は、きっと後悔のない受験につながります。
親子
卒業生