【口コミ情報】開成中学校・高等学校の卒業生インタビュー
2025.08.12

卒業生に聞いた!

通っていた学校
- 開成中学校・高等学校
プロフィール
ハンドボール部と同好会「ピアノの会」に所属。卒業後の進路は慶應義塾大学
※本記事は2025年7月29日におこなった取材をもとに執筆しています。
目次
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準備期間1年、先生の介入はゼロ。開成の運動会
開成を志望したきっかけは、小学6年生の時に見た運動会です。塾の先生に勧められて足を運んだのですが、すごく熱気があったのと、生徒たちが生き生きとしていたので、「楽しそうだな、自分も開成に入ってこれをやりたいな」と思いました。
入学してからも、運動会はやはり一大イベントでした。みんな本気で、先生が介入する余地がほとんどないのが開成の運動会の特徴かなと思います。準備から運営、後輩の指導まで、すべてを生徒たちで行うというスタイルなので。
競技は毎年決まってるんですけど、審判も生徒がやっていて、競技ルールは毎年少しずつアップデートされていきます。それは、各組が本気で勝ちにくるので、意表を突くような作戦が次々と生まれるからです。その作戦を巡って「来年からはこれは禁止にしよう」とか、「逆にこれを取り入れた新しいルールを加えよう」といった議論が交わされ、ルールが進化していくんです。

開成生がどれだけ運動会に本気かというと、負けた組の生徒は、みんな土下座をするんですよね(笑)。高3はもっと本気で、負けた組は自主的にみんなで坊主にします。打ち上げの時、それまでかっこいい感じの髪型をしていた先輩がみんな坊主になっていました(笑)。
運動会では、高校3年生が最高学年として下級生を指導する伝統があります。中1の頃は本格的に指導してくる先輩たちが正直、最初は怖いんです。でも、本当は優しいと分かってくる。だから運動会が終わって、先輩との密な交流が終わってしまう時には、寂しさを感じるほどでした。
運動会が終わるとすぐに、応援歌の作曲や巨大な組看板「アーチ」の制作リーダー決めなど、翌年の準備が始まるんですけどね。


授業はオリジナル教材ばかり。中1でピアノ、中2でギターを全員が学ぶ
授業は決まった教科書をほとんど使わないですね。先生たちがオリジナルのプリントを作って配布することが多かったです。オリジナルのテキストブックを配る先生もいました。開成の授業は他では絶対に受けられない、唯一無二のものだと思います。
音楽の授業も特殊で、中学1年生で全員がピアノを絶対にやらされるんですよね。音楽室に1人1台分のピアノが置いてあって。2年生の時には全員がギターをやります。
楽譜が読めなくても、楽器に触ったことがなくても、全員で挑戦するんです。中1の時はコードを勉強して、「じゃあちょっと作曲してみよう」みたいな。右も左もわからないんですけど、全員やってました。
自主性を重んじる校風
開成って、東大への合格者が多いことが知られているので、結構受験勉強のサポートがしっかりあるんじゃないかって言われるんですけど、そういう学校ではないんですよ。どちらかといえば自主性が重んじられてて、あまり受験とは関係ないけど、面白いことを深く学んでいくような授業が多いです。
全国模試で1位を取る秀才もいれば、数学オリンピックの日本代表や、長距離走の東京代表、海外のいろんな大会に出てるっていう生徒もいる。絶対に東大ということではなくて、みんなそれぞれの道で、好きなことを突き詰めている感じです。
余談ですが、開成にはいい意味で「変な人」がたくさんいます(笑)。それぞれの個性を認めているので、自然に友達もできる。いじめとかは全くなかったと思います。
尊敬できる友人たちとの出会い
僕の親友の一人は、日本の大学ではなく海外の大学に進学しました。彼に誘われて僕もWSC (World Scholar’s Cup) という総合的な教養を競う大会に参加したことがあるんですけど、彼はもっとさまざまな大会に参加した経験を持っていて、行動力が本当にすごいなと思っています。
そういう尊敬できる友人がたくさんいることは、開成の誇れるところです。卒業してからも付き合いは続いていて、この間も一緒に旅行に行きました。
あとは、開成生って卒業生同士で会うと、必ずと言っていいほど「高3のとき、運動会は何組だった?」という話になります。そして、同じ組だったとわかると、一気に盛り上がるんです(笑)。
運動会を通して生まれる、学年を超えたつながりの強さも、開成の魅力だと感じています。
取材後記
生徒たちが一から作り上げる、熱気あふれる運動会。教科書に頼らず、先生自身の探究心がそのまま授業に反映されるような授業。そして、互いの個性を認め合い、高め合う生徒同士の関係。
「東大合格者数日本一」という進学実績に目が向きがちな開成ですが、こうした日々の環境こそが、開成の真の魅力だと感じました。
母校を語るその口調には温かい懐かしさがにじんで、とても素敵でした。
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